自由への道標

フェニーチェ堺で、 ゴスペル・ミュージカル 自由への道標 を観劇しました。

イルギがとてもいい役を貰ってイキイキと駆け回っていました。(笑)

 

開演してゴスペルクワイアから始まり、ソロあり生演奏ありでとにかくボリューム盛沢山。
また本編開始と同時にアフリカンダンスから始まって役者たちによるマイム&ミザンス、そして次第に熱を帯びていく演技。
かなり豪華な作品となっていました。
最期はみんなでOh Happy Day!

これはゴスペルではお約束。

ですけど、誰でもその瞬間にぱっと参加できる「お約束」があるのは本当にいいことだなあと思いました。

流石に日本の演劇にはそういうものはない?
昔はあったけど無くなったのかもしれません。大衆演劇には残っている気もします。

花火の「たまや~」もだんだん減っている気もします。(「かぎや~」はもう絶滅危惧種かも)
しかし天空の城ラピュタでいう「バルス」のように後から生まれるものもありますね。

話が少しそれてしまいました。ここから本編について書きます。


●自由への道標という言葉の意味

自由への道標は、実在したアメリカ人女性ハリエット・タブマンと彼女が行っていた奴隷解放運動について描かれた作品です。

南北戦争目前、1800年代中盤のアメリカは北部州と南部州の間で、政治体制と経済体制が大きく異なっておりました。
そこに起因して、アメリカ建国以前から200年も続く奴隷制度に対しての廃止論が動き出します。
当時、奴隷制度廃止を進める北部州と奴隷制度継続を求める南部州の対立は深まる一方。
奴隷とされていた多くの人々は、自由を求めて南部から北部に向けて逃避行するようになります。
しかし当時「奴隷は所有物」とされていたため、奴隷主が逃避行を許すはずがなく…逃避行は困難を極めるようになります。

その状況下で、人々の逃避行を手助けしていたのが「地下鉄道」と呼ばれたグループ。
「地下鉄道」には「車掌」と呼ばれるキーパーソンが存在。彼らは逃走する人たちと北部州までの道のりを同行する命がけの案内人でした。

ハリエット・タブマンもその一人。
何度南北を行き来しても捕まることのない彼女の奇跡的な成功は、旧約聖書の聖人になぞらえて「モーセ」と呼ばれます。
※モーセは遥か昔エジプトで奴隷とされていたイスラエル人たちを、海割りの奇跡で解放したとされる伝説の人物。

「地下鉄道」という言葉は組織だけでなく、逃走ルートそのものをも指していたとされます。
つまり自由への道標とは、地下鉄道の旅路の途中の様々なキーポイント(土地)やキーパーソン(車掌など協力者)のことを言ったのです。


●奴隷を救うキリスト教とゴスペルと

そもそもゴスペルとは何だ?
何となくこんな音楽というイメージができるくらいに広く知られているゴスペルですが、これは音楽のジャンルの一つです。

ゴスペルが今の形になる前に元になったのはスピリチュアル(ブラックスピリチュアルズ)というジャンルの音楽。日本語では霊歌とも言います。
スピリチュアルは聖書、それも主に旧約聖書の内容を歌詞として歌われていました。
旧約聖書は先にも書いたモーセの逸話のようにイスラエルの隆盛を中心に奴隷となった人たちの記述があり、それがアメリカでの奴隷制度に支配される自分たちと重なったのです。

しかし、奴隷とされた人々の先祖は遠くアフリカに生まれた人々。キリスト教を最初から信仰していた訳ではありません。
むしろアメリカに連れてこられてから信仰を強要されることの方が多かった。
キリスト教には、昔から西欧諸国がアジア・アフリカ及び各大陸のネイティブたちの土地を植民地化を正当化する理由に使われてきた影の側面があります。

しかし運命は不思議なもので、このようにアメリカで奴隷とされた人々が自らを解放する理由にもなったのです。


●劇構造

ゴスペル・ミュージカルとしての今作品ですが、仮にもっと演技シーン中心になれば叙事詩劇と呼べるのでは?と思いました。

ハリエットは言わずもがなの英雄で、彼女が闘っている相手は世界そのもの。
旧約聖書の伝説に重ねられた彼女もその生涯を通して一つの伝説を作った。
王道をゆく世界変革のストーリー展開においては歌が重要な役割を担っています。これぞ叙事詩劇。

とはいえ、もしこのストーリーをストレートプレイで上演するとしたら…、
安易に物語や登場人物の心情をセリフで表現するなんて、決してできないと思います。

なぜ歌が生まれて、歌い継がれて、今日まで残っているのか?
この物語には少なからずそういう要素があるように感じるのですが…、どうでしょうか?


今回は、ゴスペル・ミュージカル 自由への道標 から色々と分析してみました。
映画「ハリエット」観たくなりましたか?下にリンクを貼っておきます!

 

 

※参考ページ

・AMERICAN CENTAR JAPAN 国務省出版物におけるハリエット・タブマンについての記述
https://americancenterjapan.com/aboutusa/translations/4957/

・ATOゴスペル教室 ゴスペルの歴史と奴隷貿易の関係性についての解説
https://ゴスペル東京.jp/content/224.html

・映画ドットコム 「ハリエット」
https://eiga.com/movie/92132/

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